FORMANT BROTHERS

WORKS

“Vocalise” for 8 speakers

8スピーカーのための “ヴォカリーズ”

作曲・フォルマント合成・録楽編集:フォルマント兄弟(三輪眞弘+佐近田展康)

日時:2018年3月3日(土)

会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ

 

CCMC2018──Contemporary Computer Music Concert

マルチ・チャンネル・スピーカー・オーケストラによるアクースモニウム・ライブ招待作品(世界初演)

http://acsm116.com/ccmc-2/ccmc2018/

 

 

人間が知覚するあらゆる音波の中で〈声〉は特別なものである。その〈声〉を録音(サンプリング)からではなく、「無」から人為的に生み出す試みをフォルマント兄弟は続けてきた。 兄弟の興味はいつも「声と、それ以外の音波」との境界線であり、それは多分に無意識的な領域の出来事である。つまり、ぼくらはある音波を能動的に「声として聴く」ことはあり得ず、結果的に「声に聞こえてしまう」ことしか知らない。さらに、当然だが「声のない言葉」は考えられないが、「言葉のない声」はいくらでもある。激しい身体的、感情的な「言葉にならない声」はもとより、歌詞のない歌唱などもまたそうだろう。 「歌詞がよく聞き取れない」などと批判を受けながら、兄弟は長い間、言語の乗り物ではない「声そのもの」を人工音声によって作品化したいと夢見てきた。そして今回発表するのが「ヴォカリーズ」である。

(CCMC2018初演時は、ひとつの〈声〉のフォルマント成分を、客席を取り巻く8つのスピーカーから分離して再生した。つまり会場の空間内ではじめて〈声〉が合成された)